第5編 呼吸法の歴史的変遷を考察する
この編は呼吸が主題なので鍼灸治療に直接は関係なさそうですが、呼吸法は健康維持からある程度の病改善法となると思われています。要するに養生法に呼吸法は欠かせないと思います。
鍼灸と養生法は、別もんだと私は思っているのですが、混同している鍼灸師の先生方もおられると思います。
ただここでは、健康法としての呼吸法にはあまり深入りせず、純粋に呼吸法の初期から現代までの変遷を考究しています。
そもそも呼吸とは何かということから考えないとわからないことだらけなのです。
現代は空気があってその中の酸素を取り込むことが呼吸の主な役割とわかっています。しかし、その酸素は1700年代に発見されているので、今から2000年以上前の時代では、想像も及ばなかったはずです。
古代の呼吸法は、呼吸という字を見てもお分かりだと思いますが、呼という吐き出すという字と吸という吸い込むという字から成り立っています。
これから呼吸は吐き出してから吸い込むのが正式な方法だと思われます。
何故かというと、呼吸とは、正常なきれいな気を取り込み、体の中にたまった濁った悪くなった気を吐き出すことなのでした。
簡単なたとえ話で分かりやすく説明しますが、節分の時、豆まきをします。この時、鬼は外と言って、鬼を追い出します。そのあとに福は内と言って福を呼び込みます。逆だったら、家の中に鬼と福が混在してしまいます。
よい気と悪い気の置換方法として、悪い気を吐き出してからよい気を入れるのが効率的なのです。
それなのにいつの間にか吸い込んでか吐き出すという方法に代わってしまいました。どこからこのようになってしまったのかを、調査した結果が、この「呼吸法の歴史的変遷を考察する」です。